往年のビッグネーム続物
『ザ・ガードマン』
『銭形平次』
などTVにムービー、
舞台に朗読と幅広くビジネスしてきた芸歴55年の名バイプレーヤー、
入川保則(71)が直腸がんの検査を受けたのは前年7月。
已に全身に転移しており、
延命治療も拒否しましたことを告白したのが、
今年3月8日のこと。
この時
:余命半年
の宣言を受けていました。
入川自身が、
今の状況を語りました。
* * *
僕は已に自分の葬式の式次第を完成させました。
業者とは打ち合わせも終わらせて有ります。
遺された人たちが、
やらねばなら無いことがひとつも無いように手筈は整えて有ります。
業者が、
:お坊さんはどうなさいますか
と訊くものだから、
:僕は無宗教。
坊主の読経はいりません
と解方ました。
しかし其れでは式に締まりが無いと思ったので、
:では、
僕が自分で般若心経をテープに吹き込んでおきましょう。
其れを式の冒頭で二度くらい流してもらえば充分です
。
これはわれながらいい案だとおもいました。
演技者人生を賭けた、
いい朗読で吹き込んでおくから、
とね。
がんを公表してその時から、
気を揉んだ友人たちが
:お別れの会
と称して飲み会を開催してくれるんですが、
みんな僕が元気なことに驚く。
:慰めようとしたんだけど、
おまえの元気な雰囲気をごらん逆に励まされたよ
そんなことを言うんです。
なかには
:仮病じゃ無いか
と言うヤツまで出てくる始末。
――だが本物のには布団を上げるのも、
掃除や洗濯をしにコインランドリーに行くのも、
難儀だと伝えられています。
其れしかし昼の3時くらいになれば調子が好くなってくる。
そして宵にさしかかりお酒を飲みだすと、
シャンとなるかもしれませんよね。
友人たちが
:ほんとにがん?
と訊くのもムベなるかな、
です。
僕の局面、
治療のための全ての薬をご遠慮願いましましたが、
灘の生一本だけは手放せ無い良薬のそうです。
:いつ逝くとも知れぬ身で、
一人で暮らすのは精神的に苦痛では無いのですか
そうも訊かれますが、
ココロの淋しさは有りません。
【プロフェッショナルフィール】
入川保則(いりかわ・やすのり)1939年11月10日誕生し。
兵庫県出。
『水戸黄門』
や
『部長刑事』
といった時節劇や刑事ドラマを中心に名脇役として活躍。
NHK大河ドラマには
『太閤記』
『徳川家康』
はじめ8本に登場。
著書
『その時は、
笑ってさよなら 演技者・入川保則 余命半年の生き方』
がワニブックスより発売中。
※週刊ポスト2011年7月8日号
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